常に新しい用語が生まれてくる情報システム部門は、全ての用語を正しく理解するのも一苦労。ましてや他人に伝えるとなるとさらに難しくなります。本用語辞典では数々のIT用語を三段階で説明します。
一段目 ITの知識がある人向けの説明
二段目 ITが苦手な経営者に理解してもらえる説明
三段目 小学生にもわかる説明
取り上げる用語を“知らない”と思った人は、小学生にもわかる説明から読んでみると、理解が深まるかもしれません!?
一段目 ITの知識がある人向け 「ディザスタリカバリ」の意味
「ディザスタリカバリ」とは自然災害や大規模なシステム障害からシステムの修復や復旧を行なうこと。またそれら災害や障害が起こり得るものとして、その対策を講じておき、適切な体制や仕組みを作っておくこと。
二段目 ITが苦手な経営者向け
地震、水害など大規模な自然災害が起きて、会社のシステムが大きなダメージを受けたとしましょう。そのシステムが回復するまで会社の事業はできないに等しいですよね? たとえば通販を行なっている会社は復旧するまで売上ゼロの可能性が高いでしょう。大変な損害です。また、システムが復旧するまでに、顧客が他の競争相手に取られてしまうかも知れません。そんなことになっては事業じたい続けられなくて会社はつぶれてしまう可能性も出てきます。
経済産業省が発表した「事業継続計画策定ガイドライン」をご存じでしょうか? カンタンに言うと、企業が自然災害などで大きな被害を受けた場合を考えて、事業を継続するために必要な計画を立てておきましょう、ということです。事業継続計画はBCP(Business Continuity Plan)と言います。なので、これを作っていない会社はまずこのガイドラインを読んで、BCPを作ることから適切に対応しなくてはいけません。
地震や水害などの被害を受けたとき、従業員の安全はもちろんですが、事業を継続するために、システムをいち早く復旧することも大切で、その備えをしておくことが「ディザスタリカバリ」です。データのバックアップを常にとっておく、サーバを二重にして遠隔地に置いておくなど事前に対策を講じておくことが大切なのですね。
三段目 小学生向け
わたしたちの暮らしている日本は、地震や洪水など災害が多いですよね。なので、みんな「防災」ということに気をくばって、いろんな備えをしておきます。しかし、残念なことに、自然の力はものすごいので、どんなに備えをしても災害はやってきてしまいます。そこで、「災害よ来ないで」と考えるより、「万一、災害にあったら被害をくい止めて、できるだけ早く復旧するような備えをしておこう」という考え方が大事なんですよ。
「ひなんくんれん」というものを地域や学校で行ないます。あなたも参加したことがあるでしょう? あれはね、「これは訓練だから」と思ってやってはダメなんですよ。「これはほんとうの災害で、こんな時どうしたらいいのか」って思いなさい、本気で取り組みなさいと言われるでしょう。そんな心構えで「ひなんくんれん」を行なっておけば、万一災害にあっても、被害を少なくできて、復旧が早くできるはずなんです。
それじゃ、お父さんやお母さんが仕事をしている会社ではどうでしょう? 会社だって、地震や洪水などの被害にあったら大変です。何が大変かっていうと、会社には仕事に使う「大事な情報」というものがあって、たとえばサーバーというコンピューターに入っています。これが災害で壊れてしまったり、消えてしまったりしたら、お父さんやお母さんは仕事ができなくなっちゃうんです。仕事ができなくなると、お父さんやお母さんの会社はアウトなんです。
もし、その会社が、社会の大事なもの、たとえば水道や電気、ガス、あるいは銀行、交通などのシステムに関係していたらさらに大変です! 会社だけでなく社会も混乱してしまうかも知れないですね。
そこで、会社も、みなさんの「ひなんくんれん」のように、もし被害があっても、すぐに復旧できるような工夫したり、どこか遠い場所に「大事な情報」を預けておいたり、あらかじめ備えをしているのです。自然災害で被害を受けても、最低限の被害で乗り越えてすぐに仕事ができるよう、社会に大きな影響を与えないように、あらかじめ「すぐ復旧するための仕組み」を備えているのですよ。それを「ディザスタリカバリ」というんです。